静岡の青春を支える東海大翔洋ラグビー部の軌跡と挑戦
John Shaw
Published Aug 31, 2026
静岡県静岡市。温暖な気候と豊かな自然に囲まれたこの地で、一つの高校ラグビーチームが確かな足跡を刻み続けている。東海大学付属静岡翔洋高等学校ラグビー部。1999年の創部以来、四半世紀を超える歴史の中で、数々の若者たちが青春を賭けてきた。人工芝のBlue Ocean Fieldには、今日も練習に励む部員たちの声が響く。
東海大翔洋ラグビー部は、静岡県静岡市を拠点とする高校ラグビーチームで、1999年に創部されました。現在71名の部員を擁し、津高宏行監督のもと、人工芝グラウンド「Blue Ocean Field」と専用ウェイトルームを活用した科学的トレーニングを実施。東海地区の強豪として、県大会・東海総体での上位進出や全国7人制大会への出場実績を持つチームです。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 創部年 | 1999年 |
| 所在地 | 静岡県静岡市 |
| 現監督 | 津高宏行(平成28年〜) |
| 部員数 | 71名(2025年時点) |
| 主要施設 | Blue Ocean Field(人工芝)、ウェイトルーム |
| 寮施設 | 新飛翔寮(2023年規則改定) |
| 近年の主な成績 | 全国7人制準優勝、東海総体3位など |
創部から四半世紀、築き上げた伝統と文化
1999年。世紀が変わろうとする年に産声を上げた東海大翔洋ラグビー部。創部当初は部員数も限られ、施設も十分ではなかった。だが、初代の指導者たちと生徒たちの情熱が、このチームの礎を築いた。
当時、静岡県内には伝統校が複数存在し、新設チームが割って入る余地は小さかった。それでも諦めなかった。週末ごとに練習試合を組み、技術を磨き、体力を鍛えた。グラウンドが使えない日は、近隣の公園で走り込んだ。
転機は2010年代に訪れる。人工芝グラウンド「Blue Ocean Field」の完成だ。天候に左右されず、怪我のリスクも低減されたこの施設は、選手たちの成長を加速させた。同時に、専用のウェイトルームも整備され、フィジカル強化の環境が整った。設備投資は、チーム力の向上に直結した。
津高宏行監督が導く現代のラグビー哲学
平成28年(2016年)から指揮を執る津高宏行監督。彼の就任は、チームに新たな風をもたらした。
津高監督の哲学はシンプルだ。「基本に忠実であれ。しかし、創造性を失うな」。パスの精度、タックルの姿勢、スクラムの組み方。一つ一つの基本動作を徹底的に反復する。だが、試合になれば選手の判断を尊重する。自ら考え、自ら動く。それが津高流だ。
副監督やコーチ陣には、実戦経験豊富な元選手が多く名を連ねる。彼らは自身の経験を惜しみなく伝える。失敗談も成功体験も。生の声が、若い選手たちの心に響く。71名という大所帯をまとめ上げるには、こうした指導体制が不可欠だ。
新飛翔寮での共同生活が育む絆と規律
東海大翔洋ラグビー部の強さの秘密は、寮生活にある。2023年に改定された「新飛翔寮規則」に基づき、部員たちは共同生活を送る。
朝6時。起床のチャイムが鳴る。寝室は共用。プライバシーは限られる。だが、それが良い。仲間の寝息を聞き、仲間の悩みを知る。食事も全員で摂る。配膳から片付けまで、当番制で回す。先輩が後輩を指導し、後輩が先輩を支える。
夜は自主トレーニングの時間だ。ウェイトルームには、常に誰かがいる。黙々とバーベルを上げる者。ランニングマシンで汗を流す者。各自が自分の課題と向き合う。寮母さんの「消灯30分前」の声がかかるまで、誰も手を止めない。
規律は厳しい。門限、整理整頓、携帯電話の使用制限。現代の高校生には窮屈かもしれない。だが、この環境が人間を鍛える。ラグビー選手としてだけでなく、一人の大人として。
県大会から全国へ、戦いの記録
2025年、静岡県高校総体決勝。相手は聖光学院。12対19。惜敗だった。最後のワンプレーまで諦めなかった選手たちの姿は、観客の胸を打った。
同年の東海総体Bブロック3位決定戦では、31対19で勝利を収めた。この勝利が、チームに自信を与えた。やればできる。俺たちは強い。そう信じられるようになった。
2026年の東海総体Bブロック1回戦。7対21で敗れた。悔しさが残った。だが、選手たちは腐らなかった。すぐに次を見据えた。同年の3位決定戦では再び31対19で勝利。リベンジを果たした。
全国7人制大会での快進撃
2026年、第13回全国高等学校7人制ラグビー大会。東海大翔洋にとって、歴史的な大会となった。
準決勝。17対5で勝利。初めて決勝の舞台に立った。選手たちの目には涙が光った。喜びと緊張が入り混じる。決勝戦。12対17で敗れた。優勝には届かなかった。だが、準優勝という結果は、チーム史上最高の成績だった。
7人制ラグビーは、15人制とは異なるスピード感と戦術が要求される。走力、判断力、個人技。すべてが高いレベルで求められる。この大会での経験は、選手たちを大きく成長させた。
次世代を担う選手たちの素顔
名取稜太郎。3年生でキャプテンを務める。冷静な判断力とリーダーシップで、チームをまとめる。プレー中の彼の声は、味方を鼓舞し、相手を威圧する。
山下康成。同じく3年生。フォワードとしての力強さが持ち味だ。スクラムでは誰にも負けない。泥まみれになりながら、ボールを奪い取る姿は、まさに戦士だ。
浅井紀綱。3年生のベテラン。経験値の高さが武器。試合の流れを読み、的確なポジショニングで相手の攻撃を封じる。守備の要として、チームを支える。
藤井斗真。1年生ながら、すでに頭角を現している。俊足を活かした突破力は、上級生も驚くレベル。今後の成長が最も期待される選手の一人だ。
大石幹太。同じく1年生。体格に恵まれ、フィジカルの強さが光る。先輩たちから学ぶ姿勢も素晴らしい。数年後には、チームの中心選手になっているだろう。
父母会とSNSが紡ぐコミュニティの力
東海大翔洋ラグビー部を支えるのは、選手と指導者だけではない。「翔洋ラグビー部父母会」の存在が大きい。
試合会場への送迎、応援、食事のサポート。父母たちは献身的に活動する。遠征費の捻出も容易ではない。バザーや募金活動を通じて、資金を集める。子どもたちの夢を叶えるために、親たちも戦っている。
公式Instagramアカウントは、チームと地域をつなぐ重要なツールだ。試合結果、練習風景、選手インタビュー。リアルタイムで情報が発信される。卒業生たちもフォローし、後輩たちにエールを送る。SNSが生み出す絆は、物理的な距離を超える。
親族会広報による試合速報も見逃せない。試合の詳細なレポート、写真、動画。試合会場に行けなかった家族も、子どもたちの活躍を知ることができる。この情報発信が、コミュニティの一体感を生む。
Blue Ocean Fieldが象徴する未来への投資
人工芝グラウンド「Blue Ocean Field」。この名前には、想いが込められている。青い海。広大で、可能性に満ちた世界。選手たちが、ここから大きく羽ばたいていくことへの願い。
人工芝の利点は多い。雨の日でも滑りにくく、プレーの質が落ちない。天然芝に比べてメンテナンスが容易で、年間を通じて安定した状態を保てる。膝や足首への負担も軽減され、怪我のリスクが下がる。
この施設があるからこそ、東海大翔洋は質の高い練習を続けられる。週に数回の練習。一回一回を大切にする。無駄な時間はない。コーチの指示に従い、メニューをこなす。時には自主的に追加練習を行う。
ウェイトルームも重要だ。現代ラグビーでは、フィジカルの強さが勝敗を分ける。ベンチプレス、スクワット、デッドリフト。基礎的な筋力トレーニングを積み重ね、体を作る。専門的な器具も揃い、科学的なトレーニングが可能だ。
静岡ラグビー界での位置づけと今後の展望
静岡県のラグビー界は、全国的に見ても一定の水準を保っている。伝統校が複数存在し、競争は激しい。その中で、東海大翔洋は確実に存在感を増している。
聖光学院との一戦が象徴的だ。県大会決勝で敗れたとはいえ、内容は互角だった。数年前なら考えられなかった。力の差は、確実に縮まっている。
全国7人制大会での準優勝は、東海大翔洋の実力を全国に知らしめた。静岡の、いや東海地区の代表として、堂々と戦った。この経験は、15人制の試合にも必ず活きる。
課題もある。安定感だ。良い試合と悪い試合の波が大きい。メンタル面の強化が求められる。津高監督も、この点を重視している。「心が折れたら、体も動かない」。精神力の鍛錬が、次のステップだ。
地域と歩む高校ラガーマンたちの成長物語
東海大翔洋ラグビー部の選手たちは、地域との関わりも大切にしている。小学生向けのラグビー教室を開催し、競技の普及に努める。子どもたちに技術を教え、ラグビーの楽しさを伝える。
地域のイベントにも積極的に参加する。清掃活動、お祭りの手伝い。高校生として、地域の一員として、責任を果たす。こうした活動が、人間性を育む。
卒業生の多くは、ラグビーを続ける。大学でプレーする者、社会人チームに入る者。中には、指導者の道を選ぶ者もいる。母校に戻り、後輩たちを教える。こうして、伝統は受け継がれていく。
東海大翔洋ラグビー部は、単なる部活動ではない。人生の教室だ。努力、協調、忍耐、感謝。ラグビーを通じて学ぶことは、社会に出てからも役立つ。71名の部員たちは、今日もBlue Ocean Fieldで汗を流している。青い海のような広い未来に向かって。
Frequently Asked Questions
東海大翔洋ラグビー部はいつ創部されましたか?
東海大翔洋ラグビー部は1999年に創部されました。四半世紀を超える歴史の中で、静岡県内の強豪チームとして成長を続けています。
現在の部員数と指導体制を教えてください
2025年時点で部員数は71名です。津高宏行監督(平成28年から現職)を中心に、実戦経験豊富な元選手が副監督・コーチとして指導にあたっています。
どのような施設で練習していますか?
人工芝グラウンド「Blue Ocean Field」と専用のウェイトルームを完備しています。天候に左右されず、年間を通じて質の高いトレーニングが可能です。寮生活も2023年改定の新飛翔寮規則に基づいて行われています。
近年の主な戦績は?
2026年の第13回全国高等学校7人制ラグビー大会で準優勝(決勝12-17で敗退)という歴史的成績を収めました。また、東海総体Bブロック3位決定戦では31-19で勝利するなど、東海地区での存在感を高めています。
チームの情報はどこで確認できますか?
公式Instagramアカウントと翔洋ラグビー部父母会による親族会広報で、試合結果や練習風景、選手インタビューなどの情報が随時更新されています。リアルタイムでチームの活動を知ることができます。