夜の砂浜で守る命——「一宮 ウミガメ を 見守る 会」の現場と記録
Leah Mitchell
Published Sep 01, 2026
一宮海岸の夜。波が引いた砂に、誰かが「足跡」を残します。アカウミガメが産卵場所を探す合図でもあります。「一宮 ウミガメ を 見守る 会」は、5〜8月の約7kmの砂浜で足跡調査や産卵記録、木枠囲い設置を行い、孵化率を守る活動を続けています。
目的は単なる観察ではありません。人の出入りや光、ゴミが産卵や孵化の障害にならないよう、地域と連携しながらルール作りも働きかけます。調査結果は関係団体へ報告され、次のシーズンへ知見が積み上がっていきます。
| 項目 | 要点 |
|---|---|
| 活動名 | 一宮 ウミガメ を 見守る 会 |
| 活動場所 | 一宮海岸(約7kmの砂浜エリア) |
| 主な時期 | 5月〜8月(産卵・孵化期) |
| 主な実施内容 | 足跡調査/産卵記録/木枠囲い設置/海辺清掃/啓発活動 |
| 設立 | 2008年 |
| 協力・報告先 | 日本ウミガメ協議会、外房ウミガメ懇話会など |
| 会費 | 年会費2,000円(会員) |
「一宮 ウミガメ を 見守る 会」とは:記録が守りになる仕組み
「一宮 ウミガメ を 見守る 会」は、一宮海岸に定期的に現れるアカウミガメを中心に、産卵から孵化までのプロセスを継続的に見守る活動を行うNPO法人です。現場で“何が起きているか”を数値や観察メモとして残すことが、そのまま保護につながる――この考え方が活動の軸になっています。
毎朝の観察、定例会、清掃参加までがセットになっているのが特徴です。夜の砂浜だけが舞台ではありません。日中に海岸の状態を点検し、ゴミの量や立ち入りの状況を見て、必要な対策へ結びつけます。ウミガメの時間は短くても、人間の判断は長く効いてきます。
この会の活動期間は、主に5月〜8月。砂浜で産卵が行われ、孵化が進む季節です。対象エリアは一宮海岸のうち約7km。広さゆえに、全てを一度に見ることはできません。そこで、足跡や産卵状況を見て優先度をつけ、限られた時間と人手で“守るべき点”に焦点を当てます。
5〜8月の約7km:足跡調査と産卵記録の“現場オペレーション”
アカウミガメが砂を掘り、産卵場所を探すとき、夜の砂にサインが残ります。そこから始まるのが足跡調査です。見つけた痕跡の位置、状況、周辺の状態を丁寧に確認します。砂の硬さや人の動線、障害物の有無も、結果に影響します。
次に重要になるのが産卵状況の記録です。いつ、どのような状態で産卵が行われたのか。記録の粒度が高いほど、後の孵化シーズンに何が起きていたかが追えるようになります。たとえば、産卵後に攪乱(掘り返しや踏圧)が疑われる場合、記録は「なぜ孵化がうまく進まなかったのか」を推測する材料になります。
実際に現場を支えるのは、経験と集中力だけではありません。記録のフォーマットや観察手順の共通化が、誰が見ても同じ精度で情報を残す土台になります。会のメンバーはシーズン前から準備を進め、定例会で共有事項を確認して当日の役割に落とし込みます。
木枠囲い設置:孵化までの“見えない守り”
産卵が確認されると、次の壁は“人と自然の影響”です。砂は天候で動きますし、海岸は散歩やレジャーの場所でもあります。そこで登場するのが木枠囲い設置。巣を直接的に守り、攪乱が入りにくい状態を作るための工夫です。
木枠といっても、ただ置けば良いわけではありません。巣の位置関係、周囲の動線、破損や転倒のリスク、そしてメンバーが安全に作業できる体制が必要になります。結果として、孵化までの“見えない時間”を支える役割を果たします。
会は、調査・保護活動を通じて海岸環境の保全にも目を向けています。ウミガメが産卵する場所は、海辺の生態系と人間の生活圏が交差する場所です。巣を守ることは、その地点での環境管理を同時に強化する行為でもあります。
調査結果を“外へ”:日本ウミガメ協議会・外房ウミガメ懇話会
現場の記録は、そこで終わらせない。会は日本ウミガメ協議会へ調査結果を報告し、知見を共有しています。個別の海岸で起きる変化を積み重ねることで、地域差や年ごとの傾向が見えてきます。
また、外房ウミガメ懇話会への参加を通じて、同じ海域や周辺で活動する関係者と情報を交わします。ここでのやり取りは、単なる“交流”に留まりません。現場で起きたトラブルや改善策、観察の工夫などが、他地域での判断材料になるからです。
ウミガメ保護は、個人の善意だけで完結しません。調査手法や対策の整合性が必要になります。だからこそ、会が外部へデータを出し、議論の土俵にのせる姿勢が重要になります。
地域と交渉する:夜間立ち入り禁止や灯具の遮蔽を要望
ウミガメの産卵・孵化で問題になるのは、ゴミだけではありません。夜の光も大きな要因になります。孵化した子ガメは本来、海の方へ向かう方向感覚を頼りにします。しかし街灯や照明が強すぎると、その行動が乱される可能性があります。
会は、地域の行政や観光施設と協力しながら、夜間立ち入り禁止や灯具遮蔽といった要望を行っています。これは現場の努力を、ルールとして“維持”する試みです。現場にいる人の声だけでは、長期的な改善に限界が出ることがあります。だからこそ、組織として働きかけます。
対策は、住民や来訪者の理解があって初めて機能します。会は広報活動を重ね、子ども向けの紙芝居や工作、海辺の清掃やイベントでの普及にも取り組んでいます。知ってもらうことが、翌年の行動を変える力になります。
会員・協賛の仕組み:会費2000円と、約50名の継続力
「一宮 ウミガメ を 見守る 会」は2008年に設立され、活動初期から約50名規模の会員が関わり続けてきたとされています。継続が難しい分野だからこそ、人の厚みが現場を支えます。
会員は年会費2,000円。毎朝の観察や定例会、清掃に参加し、報告や意思決定を担います。ここで重要なのは、参加の形が一律ではなく、“観察→共有→改善”というプロセスに織り込まれている点です。
また、賛助会員や個人・企業からの金銭、物品協賛も募集し、調査・保護活動に活用します。木枠囲いのような作業には資材が必要ですし、清掃や啓発にもコストがかかります。資金と物資が現場の手を増やし、結果として保護の精度を押し上げます。
子どもと作る保全:紙芝居、実物大オブジェ、海ごみ調査
海岸で守るだけではありません。会は、地域の理解を育てるための場も作っています。たとえば、子ども向けの紙芝居・工作。手を動かして、ウミガメがどんな生き物かを身体感覚で覚える作り方です。
さらに、ワークショップや講演会では、海ごみ調査や実物大ウミガメオブジェ作成といった企画も行われています。オブジェは“見える化”の装置です。普段の生活で目にしない命を、会場に持ち込み、会話のきっかけを作ります。
こうした取り組みは、保全を“特別な誰かの活動”から“地域の文化”へ近づけます。結果として、海辺に来た人が夜間の配慮やゴミの持ち帰りを選びやすくなります。小さな行動が、砂の中で続く時間を支えるのです。
夜の砂浜で、次の朝を守る:一宮 ウミガメ を 見守る 会が残すもの
「一宮 ウミガメ を 見守る 会」が続けているのは、点検と記録と対話です。足跡調査に始まり、産卵状況を残し、木枠囲いで孵化までの攪乱を抑え、調査結果を関係団体に報告する。そこに夜間の立ち入りや光の対策を求める働きかけが乗ります。
ウミガメのシーズンは、毎年“新しく始まる”のに、現場の学びは積み上がります。だからこそ会の活動は、いまここでの保護であり、将来の判断材料でもあります。砂浜で見えない変化が起きていることを、地域が一緒に見守る体制ができつつある。そこに、この会の価値があります。
Frequently Asked Questions
一宮 ウミガメ を 見守る 会は、どんな活動をしていますか?
主に5〜8月の産卵・孵化期に、一宮海岸の約7kmで足跡調査や産卵記録、木枠囲い設置を行います。加えて海辺清掃や子ども向け啓発、地域連携による夜間立ち入りや灯具遮蔽の要望も実施しています。
活動に参加するにはどうすればいいですか?
会員制度があり、年会費は2,000円とされています。毎朝の観察、定例会、清掃などへの参加が前提となります。詳細な募集状況は公式サイトや連絡先で確認してください。
調査結果は誰に報告していますか?
日本ウミガメ協議会へ調査結果を報告するほか、外房ウミガメ懇話会など関連の場で情報共有を行っています。
木枠囲いは何のために設置しますか?
産卵場所を直接守り、人の攪乱や環境要因による影響を受けにくい状態にするためです。孵化までの時間を支える役割を担います。
夜間の対策はなぜ必要ですか?
孵化した子ガメの行動に影響する可能性があるためです。夜間立ち入り禁止や灯具遮蔽などは、方向感覚を乱さないための配慮として進められています。